オリエンタルランドのヒト育てに学ぶ その① ~人づくりの労務管理 

卓越したサービスが全スタッフに浸透している~ミッションの理解と浸透                                   

キャスト(=スタッフ)のほとんどがアルバイトであるにもかかわらず、卓越したサービスでゲスト(=お客様)の心をつかみ続けているオリエンタルランド(東京ディズニーリゾートの運営会社)。コロナ禍の2020年には123日の臨時休園を経験しながらも、キャスト各人の変革に向けた柔軟な発想と行動力により、未曾有の危機を乗り越え「ハピネス」を提供し続けてくれています。また東日本大震災の際にも、キャストの自発的な行動によってゲストの安全確保と不安解消に成功しました。その企業理念や行動指針、スタッフ教育について常に注目されています。9割近くがアルバイトにもかかわらず、なぜ人材育成が成功しているのかを考えます。

オリエンタルランドには、次のようなミッション(使命、理念)があります。                                                  「あなたと社会に、もっとハピネスを。」                                                                                                                    このミッションがオリエンタルランドという会社が存在している意味・目的です。そして全てのキャストに浸透し、正しく理解されているといいます。人材教育についてもすべてのベースがここにあり、会社から上司や先輩へ、上司や先輩から部下や後輩へと正確に伝えられる仕組みが確立されているのです。

皆さまの会社にはミッション・企業理念はありますか。その理念はどの様に社員に伝え、理解されているでしょうか。立派な額縁に掲げられるミッションや企業理念、それが社員に理解されていないのであればただの飾りです。経営理念の重要性や必要性がよく語られますがなぜでしょうか。                                    

給料や労働条件だけでは社員のモチベーションは上がらない

社員のモチベーションや満足度を高めたいと考える時に思いつくのは「給料・ボーナス」や「福利厚生」「労働時間や休日」といったものです。従業員の不満足を解消するためにはたいへん重要な要素です。しかし、給料を上げ、労働条件を向上させても、それによってもたらされる「喜び」や「やりがい」という効果は一時的なことが多いのです。給料を得るために働く社員が大多数であることは事実です。しかし、給料をたくさんもらえればそれで満足のいく働きができているかというと決してそうではありません。

人は感情の生き物です。「仕事の意義」「世の中にどう貢献しているのか」を分からずに行う仕事は、給料をもらうことだけを目的とした単なる作業です。それでは「やりがい」や「自律的な行動」は生まれません。 自分の仕事の「意義」「使命感」「やりがい」を自ら見つけることのできる社員もいます。このような社員は自ら考え、率先して行動し、向上心を持って仕事にあたります。上司や先輩のわずかなサポートでグングン伸びていくのです。

「単なる作業」や「義務感」から「使命感」「やりがい」へ引き上げる

この様な人材が、いわゆる「人財」となります。 しかし、このような人財は少数派といっていいでしょう。そこで社員に仕事の「目的」「使命」「やりがい」をいかにして持たせるか、ということになるのですが、その最も土台となるものが会社のミッション、つまり「会社の存在意義・目的」になるのです。経営幹部、上司がこれを語らずして、社員それぞれの仕事の目的や社会的意義を理解させることはできません。

ミッションや行動指針を全社員に浸透させるには「仕組み」が必要です。オリエンタルランドでは、様々な機会を通じて繰り返しミッションを伝えているそうです。採用後の研修はもちろん、その後のさまざまな研修や、社内報など、事あるごとにミッションと行動指針を伝えています。そのような風土で育った上司や先輩が部下や後輩に教育指導をするのですから、全キャストに行き渡るのです。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               この様に、事あるごとに繰り返し繰り返し粘り強く伝えていくことが必要不可欠だということです。

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