労働基準監督官から是正勧告や指導票を出された場合、どの様に対応すべき?

労働基準監督署が行なう臨検監督とは

労働基準監督署の監督官が行なう臨検監督では下記の法律について法令違反がないかの調査を行います。

  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 最低賃金法  など

違反があると認められた場合には「是正勧告」や「指導票」を渡されます。

是正勧告と指導票のちがい

臨検監督により行われる指導には「是正勧告」と「指導票」というものがあります。是正勧告は「法令」に違反していることに対する行政指導です。一方、指導票とは「指針やガイドライン」からの逸脱があるとして改善を求める行政指導です。つまり、法令違反を正すのが是正勧告であり、ガイドラインや指針に基づいて行うのが指導ということになります。労働基準監督官は、法違反について刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務権限を有していますので、悪質な場合などは刑事事件として送検されることがあります。

行政指導に強制力はあるか

労働基準監督署による是正勧告は「行政指導にあたる」と言われますが、そもそも行政指導とは何でしょうか?強制力はあるのでしょうか?                             法的に行政指導には強制力がないとされています。行政手続法では次のように解釈されます。    行政指導は、相手方に義務を課したり権利を制限したりするような法律上の拘束力はなく、相手方の自主的な協力を前提としています。したがって行政指導を受けた者に必ず従わなければならない義務が生じるものではありません。しかし強制力がないからと甘く考えてはいけません。

是正勧告に従わないとどうなるのか

先ほど、是正勧告は行政指導であり、行政指導には強制力はないとお話しました。だからと言って無視・拒否や虚偽報告をしたりすると、悪質な法違反とみなされ刑事事件として送検の対象になる可能性がありますので注意が必要です。厚労省によると、「監督指導の結果、是正勧告を受けた法違反を是正しないなど重大・悪質な事案については、強制捜査を含む司法警察権限を行使し送検する」とされています。                                                                               ところで強制力がないのになぜ刑事事件として送検されるのでしょうか?                                                               送検される理由は、是正勧告(行政指導)に従わないからではなく「法違反の状態が重大・悪質」とみなされたからです。つまり法違反を正す意思がないことが悪質だと判断されるということです。ですから是正勧告が行政指導だからと甘く考えず、真摯な態度でできるだけ早く改善する必要があります。

是正と報告の進め方

指摘された法違反を直ちに是正し、是正報告書で監督官に報告するのがベストです。この報告の際、証拠となる資料などを添付します。しかしすぐには対応できない事案もあります。是正勧告の内容にもよりますが、改善の予定スケジュールを申し出て監督官の指導を仰ぎながら数カ月かけて改善を図ることも認められます。この場合、進捗状況を定期的に報告し監督官へ改善意思を示すことが大切です。何もせずに放置すると、最悪の場合には送検されることもありますので注意が必要です。もし法令の内容が理解できなかったり、解釈に違いがある場合には遠慮せず監督官に説明を求め、きちんと理解した上で進めましょう。社労士のサポートを受けながら是正を図るのも一つの方法です。いずれにしても監督官から指導していただくというスタンスがその後の監督官との関係を良好にします。

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